錦鯉の病気
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魚病の症状と対策

 ・簡潔にまとめた物ですので、詳しい情報をお求めの方は専門書などをご覧ください。
 
※当養鯉場では魚病薬を販売する事は出来ません。
 お近くの流通業者様までお問い合わせください。
 
 ・魚病予防は日々の管理が一番大切です。
     新しい鯉を入れるときは必ず消毒をしてから入れましょう。
設備があれば隔離してしばらく様子を見ます。
     飼育水の管理には気を使いましょう。
濾過槽の掃除は定期的に行い、COD5ppm以下を心がけましょう。
     酸化したエサは与えないようにしましょう。
酸化したエサは内臓障害を引き起こす危険があり、魚病を誘発する可能性があります。
 
・魚病は早期発見早期治療が原則です。少しでも違和感を感じたらエサ止めをし、よく観察してください。
※下記の薬量等はあくまでも目安です。個々の水質や環境などにより薬効に差が出ますので、あらかじめご理解ください。
病名
症状
対策
チョウ(ウオジラミ)
円盤型の薄緑又は黄土色の寄生虫が肉眼で確認できます。チョウが寄生すると手鰭や背鰭をピクピクとふるわせたり、ローリング(体をこすりつける)も見られます。
     水産用マゾテン0,5g/tを均一に散布し、2週間後にもう一度、また2週間後にもう一度散布します。
     デミリン1~2g/tを散布
※経験上デミリンを使用した方が一度の散布で済むので楽です。
イカリムシ
肉眼で棒状の寄生虫が確認できます。寄生部は充血や発赤が見られ、鱗が膨らんで見えます。野池での消毒が不十分だと寄生しやすいようです。
     水産用マゾテン0,5g/tを均一に散布し、2週間後にもう一度、また2週間後にもう一度散布します。
     デミリン1~2g/tを散布
※経験上デミリンを使用した方が一度の散布で済むので楽です。
③ 麻酔をかけ、とげ抜きやピンセット等で除去し、ヨードチンキ等で消毒します。
トリコディナ
(サイクロキータ)
体表に寄生すると粘液を異常に分泌して白い膜が被ったように見えます。体をこすりつけるローリングや水面から跳ねたりする。体の充血も見られ食欲がなくなり、動きが緩慢になる。鰓に多く寄生すると呼吸困難になり、水面や注水口に集まりパクパクと口(鰓)を動かします。
     三種混合
・ホルマリン     20~25ml/t
・マゾテン      0,5g/t
・マラカイトグリーン 0,2g/t
を混合して散布します。この時、濾過槽との循環は最低24時間以上止めます。三種混合は濾過細菌も殺してしまう為、1~2日してから循環します。
     過マンガン酸 まきっぱなし
2g/tを散布し、翌々日にもう一度2g/tを散布する。過マンガン酸は池水が汚れていると効力が半減し、エラにも負担がかかる為、半分水換えをする等してから散布してください。
キロドネラ
所見症状はトリコディナと区別がつきません。
同上
イクチオボド
(コスティア)
同上
同上
白点病
ヒレや頭部等に小さな白い点々(栄養体)が付きます。繁殖力が強く、爆発的に増えて全身に広がります。ローリングや体の充血、食欲減退、池の縁や注水口に集まる等の症状が見られます。栄養体は粘膜の内側に寄生しており、薬剤は効きませんので、水中に放たれる子虫を消毒する事になります。小さな鯉は消毒が長引くとどんどん痩せてしまうので、注意が必要です。
白点虫は水温が低いほど消毒が効かずしつこく残りますので、最低でも18℃以上で消毒します。
     三種混合
・ホルマリン     20~25ml/t
・マゾテン      0,5g/t
・マラカイトグリーン 0,2g/t
を混合して散布します。この時、濾過槽との循環は最低24時間以上止めます。三種混合は濾過細菌も殺してしまう為、1~2日してから循環します。
     塩6kg/t+ビオトーク20ml/t
      MH-1(賦活材)40ml/t
     水温を26℃以上に昇温
白点虫は26℃以上になると繁殖を止め、自然に治癒します。
ダクチログルス
ギロダクチルス
主にダクチロギルスはエラに、ギロダクチルスは体表やヒレに寄生します。ローリングや体の充血、食欲減退、池の縁や注水口に集まる等の症状が見られます。白濁、白雲症状も見られ、進行すると粘膜が剥離してきます。重傷度が高くしつこい為、非常に厄介な病気です。また、体内には子虫がいて、その子虫の中にも更に子虫がいる事から「三代虫」とも呼ばれます。
     三種混合
     過マンガン酸 2g/tを散布し、24時間後に再び2g/tを散布します。
     ハダクリーンによる薬浴
ハダクリーン20g/tをエタノールでよく溶かし(※ハダクリーンは水には溶けません。)、8時間薬浴します。ハダクリーンは経口投与が通常ですが、そもそも既に食欲が無い鯉は食べませんので、薬浴の方が良いと思います。
※経験上一番効果があるのはハダクリーン薬浴です。多少コストは高めですが、効きの良くない消毒をしてどんどん重症化するよりは、一度できれいに落とした方が良いと思います。
カラムナリス
食欲減退や行動緩慢が見られ、体やエラに淡黄色の付着物(コロニー)が付いたり、ヒレが溶ける、口腐れ等の症状が見られます。症状が進むと体表面が剥がれたように見えたり脱鱗したりし、体のむくみや眼球のくぼみが起こります。また、見た目は異常が無いのに突然ポロッと死亡したりする場合は、エラにカラムナリスが付着していたという事が多いようです。
カラムナリス菌は塩に弱いので、塩浴が中心の治療となります。
     塩6kg/t+パラザン100ml/t 
様子を見ながら数日間様子を見ます。
※OTC酸も効果がありますが、水が汚れる為パラザンの方が無難です。
     塩6kg/t+ビオトーク20ml/t
      MH-1(賦活材)40ml/t
①、②共に、薬液が汚れたら交換しましょう。
 
運動性エロモナス
・立鱗病
(松笠病)
・赤斑病
エロモナスハイドロフィラという細菌に感染することにより発症します。最初は部分的に鱗が立ち、症状が進むと全身に広がっていき、松ぼっくりのような状態になります。また眼球の突出(ポップアイ)も見られます。酸化したエサなどを摂取した事による内臓障害でも同様の症状になる事があります。
水質の悪化やエサの与えすぎにより発症する事が多いので、飼育環境に気をつけてください。エロモナスハイドロフィラはそんなに強い細菌ではないので、初期のうちに治療しましょう。
     塩6kg/t+パラザン100ml/t
少ない水量で行う場合は、すぐに水が汚れてしまうので、毎日水換えを行ってください。またその時、同水温の水を使用し、塩とパラザンを追加してください。
②比較的大きな鯉は、患部の鱗の裏にメスを入れ、膿を出してヨードチンキを塗るか、①の薬液で薬浴します。
穴あき病
新穴あき病
エロモナスサルモニシダという細菌が原因とされます。体表がえぐられたように筋肉が露出します。口が赤くなったり、手鰭の根元や腹部など池底にすれる部位から進行する事が多いようです。エロモナスサルモニシダは感染力が非常に強く、発症が見られたらその池にいる鯉すべてに治療しなくてはなりません。池自体の消毒も必要となります。
基本的には注射での治療や専門的な知識、技術が必要となりますので、お近くの鯉屋さんにご相談ください。
眠り病
主に越冬期の当歳に見られる症状で、文字通り眠ったようにひっくりかえって水面に浮いたり沈んだりします。物音がすると起き上がって泳ぎだしたりしますが、またすぐにひっくり返ってしまいます。全身のむくみや眼球のくぼみを伴うこともあります。一度眠り病にかかり回復すると免疫が出来て強くなるため、生産者によってはわざとかける事があります。感染力が強く、眠り病未経験の鯉と同居するとほぼ100パーセント感染します。2歳になってから眠り病にかかると立ち直りが悪く、充血や白濁症状が続きます。原因は浮腫症と同じポックスウイルスではないかと言われています。
       塩6kg/t+パラザン100ml/t
水温を26℃以上に昇温します。30℃になるとパラザンの効力がなくなってしまうので注意してください。 
2日後にパラザンを同量追加します。
数日間様子を見ます。
※OTC酸も効果がありますが、水が汚れる為パラザンの方が無難です。
     塩6kg/t+ビオトーク20ml/t
      MH-1(賦活材)40ml/t
水温を26℃以上に昇温します。2日後に半分量のビオトークとMH-1を追加します。
※眠り病はじっくりと完全になおしてください。完全に直らないまま通常飼育を開始するとぶり返す事があります。
 
 
浮腫症
6月~7月頃の梅雨時期に、稚魚池で多く発生します。直ちに加温できる設備に収容して処置を施さないと大量死をまねきます。体のむくみ、眼球の陥没が目立ち、池の縁によりボーっとします。水温が高い時期になると発病が見られなくなることから、高水温に弱いウイルスであると推測されています。
多年魚との接触や、飼育水の流入、道具を併用することにより、浮腫症の原因であるポックスウイルスに感染しますので、注意が必要です。道具などは必ず天日干しするなどして使用しましょう。治療方法は眠り病と同じになります。
エピスチリス
(ツリガネムシ)
主に体表側面に白い付着物が生じ、次第に拡大します。症状が進むと皮膚の充血、患部の鱗の欠損や脱鱗などが見られるようになります。穴あきのような症状になる前に早急に処置しましょう。
     マラカイトグリーンの散布
0,2g/tを撒きっぱなしにする。
②患部にヨードチンキを塗布
患部の水気を良く取り、ヨードチンキを塗布する。数日間繰り返し行います。
※ヨードチンキはエラに入ると危険なので注意してください。
エピスチリスがなくなり次第、二次感染を防ぐ為、塩とパラザンなどで薬浴したほうが良いでしょう。
乳頭腫
(コンニャク病)
低水温の時期に発生します。白い蝋のような物がヒレや体表に付きます。乳頭腫で死亡することはありませんが、ヘルペスウイルスの一種なので伝染します。(コイヘルペスとは違います。)
     水温を25℃以上に昇温する。
25℃以上で飼育すると、一週間から2週間で自然治癒します。少しであればメスなどで切開することもありますが、再発の可能性が高いので、高水温を維持することが重要です。
酸素ガス病
頭部や各ヒレなどに気泡が発生します。この病気で死ぬことは少ないが、放っておけば他の病気を誘発することもあるので、早急に対処した方が良いでしょう。
アオコの大量発生や高水温、強い日差し等が重なる時に植物性プランクトンが大量に酸素を放出し、水中の溶存酸素量が過飽和状態となり発生します。
     新しい水に入れ替えます。水温も下がりますが、この場合はその方が効果的です。
     野池の場合は、多目の新水の注入、出来れば爆気をします。爆気をする事により余分な酸素を放出することが出来ます。爆気により溶存酸素が過飽和になる事はありません。
窒素ガス病
頭部や各ヒレに気泡が発生します。酸素ガス病と違い、毒性があるため狂ったような泳ぎ方をし、死にいたる事があります。
基本的には同上ですが、炎症などを伴うことがあるので塩とパラザン等を入れ、二次感染予防をした方が良いでしょう。
 

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